児童労働とは

子どもの権利とは

なぜ今、子どもの権利なのか

今なお続いている、子どもへの暴力

子どもの権利条約は、第1次・第2次世界大戦によって大量の子どもが犠牲になった悲惨な現実を受けて、「いま目の前にいる子どもたちを救いたい」「もう二度と子どもを戦争・紛争の犠牲者にしたくない」という強い決意が原動力となって、1989年に生み出されたものです。

しかし、条約が採択されてから30年が経った今もなお、世界中で子どもへの暴力が繰り返されています。

戦争・紛争、児童労働、貧困、虐待…。子どもの命や人生が犠牲になる世界中のニュースが後を絶ちません。また、「暴力」が明らかに表出しているこれらの問題はもちろんですが、必ずしも表には出てこない、例えば学校教育や子育てなどの身近な場面でも、子どもの権利が十分に実現できていないシーンがあるのではないでしょうか。

私たちACEは、世界中の子どもたちの豊かな人生のために、今あらためて子どもの権利の重要性をとらえなおし、日本に、世界に、発信していく必要性があると感じています。

2019年:子どもの権利条約・国連採択30年、日本批准25年

2019年は、子どもの権利に関するひとつの節目の年です。ひとつは条約の国連採択30年、日本の批准25年という記念の年であること、さらに、日本政府が提出した報告をもとに2019年1月に国連子どもの権利委員会において4回目となる審査が行われた年でもあるからです。同委員会からの勧告に対する日本政府の今後の対応について、市民社会も協働していくことが求められています。

※子どもの権利条約は、1989年の国連総会において採択され、1990年に発効しました。日本は1994年に批准しています。

SDGsがめざす世界

2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」。その宣言文には、SDGsがめざす世界は「子どもたちに投資し、すべての子どもが暴力や搾取から解放される世界」とあります。「誰も取り残さない」という精神のもと、貧困の撲滅、健康、教育、ジェンダーの平等、人間らしい雇用(児童労働の撤廃)、平和(子どもに対するあらゆる形態の暴力の撤廃)など様々な子どもの課題の解決を目指しています。

 

子どもの権利とは

権利は英語で“Rights”(ライツ)と書きます。その言葉の意味は、「あたりまえのこと」。「子どもの権利」は、あらゆる全ての子どもが生まれた時からもっていて、あたりまえに保障されなければならないものをいいます。命が守られ、健康的に、自分らしく過ごせるために必要なことを権利として包括的にまとめ、1989年に国連で採択(=守っていくべき大切なものとして合意)されたのが、『子どもの権利条約』です。子どもの権利条約は、現在196の国・地域が批准(=国として守ることを国際的に約束)しており、日本は1994年、世界で158番目に批准しました。ACEのキャッチフレーズ「遊ぶ、学ぶ、笑う。そんなあたりまえを、世界の子どもたちに。」も、実はこのRightsを意識して「あたりまえ」を使っています。

子どもの権利条約は、子どもを保護の対象としてだけではなく、ひとりの人間として認め、権利の主体として捉えていることに大きな意義があります。つまり、子どもは、おとなから保護や指導をうけるだけの存在ではなく、独立した人格と尊厳を持ち、自己決定しながら成長していくことができる存在である、としています。とはいえ、子どもが成長するためにはおとなの支援が必要です。子どもの権利条約には、子どもの健やかな成長のために必要な、保護される権利、配慮される権利等についても定められています。

公益財団法人日本ユニセフ協会「子どもの権利条約」全文

 

子どもの権利条約の4つの原則

ガーナの親子1. 命を守られ成長できること
すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。

2. 子どもにとって最もよいこと
子どもに関することが行われる時は、「その子どもにとって最もよいこと」を第一に考えます。

3. 意見を表明し参加できること
子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。

4. 差別のないこと
すべての子どもは、子ども自身や親の人種、性別、意見、障がい、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます。

出典:公益財団法人日本ユニセフ協会「子どもの権利条約」

公益財団法人日本ユニセフ協会「子どもと先生の広場」

ガーナの子どもの笑顔 インドの子ども 学ぶ様子

ACEが子どもの権利を重視する理由

ACEは、2017年の団体創設20周年を機にそれまでのビジョン・ミッションを見直し、新たなパーパス(団体の究極的な存在意義)を定義し直しました。「子ども、若者が自らの意思で人生や社会を築くことができる世界をつくるために、子どもや若者の権利を奪う社会課題を解決する」こと。これが、ACEのパーパスです。(活動理念・戦略)また、ACEの活動を継続的な寄付で応援する仕組みの名称を、2018年に「マンスリーサポーター」から「子どもの権利サポーター」に変更しました。

そこには、以下のような想いがあります。

子どもにまつわる問題が「なぜ起きるのか」と「なぜ?」を問い続けていくと、行きつく答えが「子どもには人として大切にされる、尊重される権利がある」ということ自体が、おとなにも子どもにも知られていない、理解されていないという側面があるのではないか。また例え知っていたとしても、実際にどのように子どもに接したらいいのかわからないということもあるのでは。このような状況の中から、子どもにまつわる様々な問題が起きているのではないかと思ったのです。

子ども時代は人生の一番初めの時間です。この貴重な子どもの時間に、自分らしく、「この世の中は生きるに値する」「生まれてきてよかった」と感じられるような子ども時代を過ごせることが、「子ども、若者が自らの意思で人生や社会を築くことができる世界」につながると、私たちは考えています。

 

子どもの権利を守る取り組みに参加しよう!

子どもの権利を守るためにACEが日本国内で現在実施している活動の一部をご紹介します。キャンペーンへの参加やリーフレットの配布などを通じて、ぜひあなたも一緒に子どもの権利を日本に普及していきましょう。

子どもの権利条約CP_logo_color_4広げよう!子どもの権利条約キャンペーン

日本国内に子どもの権利を普及・実現するために2019年4月に発足した「広げよう!子どもの権利キャンペーン」の事務局を務めています。ぜひご参加ください。

 

日本の児童労働リーフレット2種児童労働から守るためのリーフレット配布

子どもや若者が「働く人を守るルール」について知って、危険で有害な労働から身を守れるよう、リーフレットを作成し、配布しています。

 

子どもの権利を守るためのACEの取り組み

ACEは子どもの権利をベースに事業を展開しています。その一部をご紹介します。

子ども権利クラブの話し合いの様子

子ども権利クラブ(インド、ガーナ)

インドとガーナでの子ども支援プロジェクトでは、「子ども権利クラブ」や「学校運営委員会」を学校内に設置し、子どもたち同士やおとなと一緒に話し合いをする時間を設けています。子どもたち自身が学校や家庭で直面する問題や解決策について話し合い、話し合った内容や提案は、校長先生を通じて村のリーダーに伝達され、行政とも連携して子どもたちの問題に取り組むようにしています。その他、学校のカリキュラムでは学ばない、子どもの権利やエイズの予防などについても学んでいます。

カカオ生産地での支援活動「スマイル・ガーナ プロジェクト」
コットン生産地での支援活動「ピース・インド プロジェクト」

チェンジの扉講演イメージ学校への講師派遣(日本)

日本の子どもやその保護者を対象に、キャリアや自己実現に関する出前授業・講演を実施しています。ACEが販売する書籍「チェンジの扉」を題材に、インドやガーナの子どもたちや、彼らに向き合ってきたACEスタッフが体験した ”変化のストーリー” を紹介しながら、「人生は自ら選択でき、変えることができる」というメッセージを伝えます。

その他のテーマでも講師派遣を受け付けています。詳しくは以下をご参照ください。

学校向け講師派遣・出前授業

         

あなたにも、今、できることがあります。子どもの権利サポーター募集中