インドで子どもに会って考える旅~スタディツアー2012報告(1)
インドで子どもに会って考える旅~スタディツアー2012報告(1)
2012年8月22日から8月30日にかけ、インド・スタディツアー「インドで子どもに会って考える旅」を実施しました。インド・スタディツアーの様子を3回に分けて報告させていただきます。報告(1)では、スタディツアーの概要と訪問先のACEのパートナー団体のBBAと、子どものリハビリ施設「バル・アシュラム」についてお伝えします。
ACEインド・スタディツアーの目的は、インドの児童労働の現状や取り組みについて理解を深め、問題解決のために自分にできる事を考えることです。スタディツアーを通して、ACEのプロジェクトやパートナー団体の活動などを理解し、実際に児童労働をしていた子どもたちや、その解決に取り組む人々との交流を通じて、インドの社会状況、人々の生活について知る機会となりました。学生を中心とした男女11人が参加し、ACEスタッフ2名が同行しました。
ACEスタディツアー2012 日程(2012年8月22日~8月30日)
8/22(水) | 成田空港出発→デリー着 |
8/23(木) | BBA事務所訪問、ラジャスターン州へ移動 バル・アシュラム(子どものリハビリ施設)滞在 |
8/24(金) | バル・アシュラムでオリエンテーション 「子どもにやさしい村」プロジェクト実施村の訪問 バル・アシュラムの子どもと交流 |
8/25(土) | バル・アシュラムの施設見学、子どもの活動見学 救出された子どもの話を聞く |
8/26(日) | 子どもと交流、デリーへ移動 |
8/27(月) | UNICEF訪問、タラ・プロジェクト訪問、ツアー振り返り |
8/28(火) | アグラ観光(世界遺産タージ・マハル、アグラ城) |
8/29(水) | デリー市内観光、デリー空港出発 |
8/30(木) | 成田空港到着、解散 |
現地パートナー団体のBBAを訪問
BBAとは、Bachpan Bachao Andolanの略で、ヒンディー語で「子ども時代を救え運動」の意味です。1980年に設立され、「すべての子どもが搾取から解放され、無償で質の良い教育を受けられるよう子どもにやさしい社会をつくる」ことを目指してインドで活動しています。
インドのパートナーNGO「BBA」の活動内容
- Prevention(防止)
児童労働や教育に関する意識啓発、農村で児童労働を防ぐ「子どもにやさしい村プロジェクト」を実施する。 - Protection(保護)
親や市民からの情報をもとに児童労働の調査・事実確認をし、地元政府・警察と共に子どもの救出やリハビリ支援を行う。 - Policy(政策)
児童労働を使用する雇用者に対する訴訟、児童労働に関連する法律・政策についての政府へのアドボカシー(政策提言)を行う。 - Partnership(協同事業)
インド国内外で児童労働や子どもの権利のために活動するNGO・機関とネットワークをつくり、協力して児童労働問題に取り組む。
これまでにBBAは、インド国内で約78,000人の子どもを児童労働から救出し、15,000人以上の子どものリハビリ支援を行ってきました。「子どもにやさしい村」プロジェクトを365地域で実施し、農村で児童労働をなくし子どもが質の良い教育を受けられるよう活動しています。他団体との協働してキャンペーンを実施しあり、政府への働きかけなどを通して、児童労働に関わる行政措置の強化、無償義務教育権利法の制定などを実現してきました。
救出した子どものリハビリ施設「バル・アシュラム」訪問
バル・アシュラムとは
バル・アシュラムは、BBAが運営する児童労働をしていた子どものための長期リハビリテーション施設で、ラジャスターン州の農村地域にあります。子どもの救出活動を行うにあたって、リハビリ施設が必要という声を受け作られました。救出された子どもたちはここで生活し、普通の生活に戻れるよう早起きの習慣や規則正しい生活リズムを身につけられるようにします。また、精神的ケアのためのカウンセリングや正規の学校へ行けるよう基礎教育を提供するノンフォーマル教育、将来の自立支援のための職業訓練などを行っています。さらに、児童労働を経験した子どもたちが、児童労働の問題や子どもの権利ついて市民や行政に知らせ働きかけられるよう、リーダーシップのトレーニングなども行っています。
基礎教育を受けた子どもたちは、希望する職業訓練を受けられるようになっています。ミシンを勉強した子が仕立屋になったり、電化製品の修理の勉強をして電気工になったり、ここで習ったものが子どもたちの将来の仕事に役立っています。
インドの子どもたちから教えてもらったこと
バル・アシュラムの子どもたちに教えてもらったこと、それは「強く思い願い続けること」。自覚と責任感を持ち行動をすることです。子どもたちが楽しそうに生活している様子を見て、「幸せとは何か」という疑問が強く頭に残りました。こんなに素敵な子どもたちに私たちがするべきことなどあるのだろうかと。
しかし、救出された子どもたちの過去の話や「これ以上、自分たちと同じ境遇の子どもを増やしたくない」という訴えを聞いて、やはり私たちも行動を起こさなければいけない問題だと感じました。子どもたちは、辛い過去と向き合い、それを私たちに訴えたり、世界に向けた発信をしています。そのための勉強もしています。自分たちが仲間を助けなければいけないという責任感を持って、活動をしているように感じました。私たちは同じ世界に生きる人間としての自覚をもち、また先進国の一員であるという自覚と責任感を持って活動をするべきだと思いました。(20代女性)
スタディツアー参加者の感想
児童労働を解決するには、ただ単に子どもたちを児童労働の現場から遠ざけるだけでなく、子どもにやさしい村を作ったり、政府に対してアドボカシーをしたり、メディアを通じて啓発運動をしたりと様々なアプローチをしなくてはいけないことに気付きました。問題を解決するにはいろいろなアプローチをしなくてはいけないのだと感じました。(20代女性)
私はバル・アシュラムに関わっている子どももおとなも全ての人がこの施設に対して誇りを持っているように感じました。特に、話を伺ったバル・アシュラムで12年間勤務しているマネージャーさんは、2000人以上の子どもたちを見てきたということで深い思い入れがあったように感じました。やはり、救出されたばかりの子ども達の中にはホームシックになってしまう子もいるという話でしたが、これだけ愛のあるスタッフがたくさんいて慣れてきたらおとなへの恐怖心も自然と和らいでくるのかなと思いました。(20代女性)
報告:国際協力事業インターン 横田 美希
インドで子どもに会って考える旅~スタディツアー2012報告
世界の子どもの笑顔のため、世界を変える小さな一歩を。
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2012.11.13