女の子の自立を支援するための活動が始まりました
「ピース・インド プロジェクト」を行っている地域では、女の子が13~15歳くらいになると親が結婚させ、相手の家族へ高額の結婚持参金を渡す習慣があります。そのため、多くの女の子たちが学校へ通い続けたくても退学して働かせられてしまいます。女の子がこのような特有の問題を抱えていることから、2011年9月から女の子を対象とした活動を始めました。
女の子が抱える問題を改善するためのグループが作られました
女の子たちが抱える問題を話し合い、解決のために活動するグループ作りが行われました。グループに参加している約25人の女の子たちは、ほとんどが学校へ通ったことがないか、学校を中退しコットン畑などで働いている子どもたちです。
2011年9月の視察時、グループの名前や目的、活動方法などを自分たちで話し合って決めてもらいました。これまで女の子たちはミーティングに参加したり発言する機会がなかったので、始めは恥ずかしがっていましたが次第に自分たちで話し合えるようになっていきました。
話し合いの結果決まったグループ名は「カストゥルバ・ガンディー・村の女の子ユニオン」です。「カストゥルバ・ガンディー」とは、インド独立の父「マハトマ・ガンディー」の奥さんの名前です。
活動目的は「子どもを早婚やダウリー制度(結婚持参金制度)から守り、親の考えを変えること」となりました。リーダーなどの役割分担や定期ミーティングの実施方法も話し合い、「他の女の子たちも参加したいと言っていたから早く知らなきゃ」と言っていました。
女の子の将来の自立をサポートする職業訓練が始まりました
同じく2011年9月から、主に14~17歳の女の子たちを対象とした縫製・刺繍の職業訓練を開始しました。基礎学力や技術を身につけて将来自立できるようサポートすることが目的です。クラスでは、ミシンの使い方や手刺繍などを女の子へ教え、サリーなどの衣服を作ったり直したりできることを目指しています。
今後は機織り機(はたおりき)を導入して、伝統的な織物の技術訓練も行う予定です。教育を受けられなかった女の子には、読み書きなどの基礎教育のクラスも行います。
9月に職業訓練を視察した時には、15人の女の子たちが授業を受けていて、とても生き生きとした表情で学んでいる姿を見ることができました。女の子たちも「新しいことを学べてとても楽しい」と言っていました。村の住民たちも職業訓練が始まったことを喜んでいるようで「いよいよ始まったね」と声をかけてくれました。
職業訓練に参加するようになったマヘシュエリちゃん
マヘシュエリちゃん(仮名)は、12歳で学校を中退し、親を手伝うためコットン畑などで働いていました。プロジェクトが始まってからは働くのをやめ、今は女の子のグループや職業訓練クラスに参加しています。
マヘシュエリちゃんは「畑で働くのは病気になりやすいし、とても大変。技術を身につけて、家で仕事できるようにしたい。結婚した後も旦那さんの収入に頼らず自分で必要なものを買えるようにしたい。」とうれしそうに話してくれました。
父親のイェサナさんは「娘が畑に出て働くより、家で仕事をするほうが安心。将来結婚した後のためにも良いと思い、家族で話し合って参加させました。」と言っていました。
今後のピース・インド プロジェクトの取り組み
早婚や結婚持参金といった問題は、女性の社会的地位が低いことが関係しているため、解決に時間がかかるかもしれません。女の子たちが抱える問題をどのように解決していけるか、村の人たちと一緒に考え話し合いながら、女の子たちが自立して生活していけるよう支援を行っていきます。
また、親が働いて家族を支えられるような支援も今後行なっていきます。女性が収入を得るための手段として鶏や羊を育ててビジネスをはじめる訓練や、おとな健康的に働けるよう保健衛生に関する住民の訓練も行っていきます。
報告:国際協力事業担当 成田 由香子
インドの子どもたちを笑顔にするために
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- カテゴリー:子ども・若者支援
- 投稿日:2011.12.15