【2020/02/14セミナー報告】HAPIC ブレイクアウトセッション 「私たちは本当に安全な団体?〜組織内で取り組む子どもと若者のセーフガーディング〜」
【2020/02/14セミナー報告】HAPIC ブレイクアウトセッション 「私たちは本当に安全な団体?〜組織内で取り組む子どもと若者のセーフガーディング〜」
2020年2月14(金)東京にあるKFC Hall & Room (国際ファッションセンター)にてJANIC主催の、HAPIC(ハピック)-HAPPINESS IDEA CONFERENCEが開催されました。
そのHAPICの分科会で、「ブレイクアウトセッション 私たちは本当に安全な団体?~組織内で取り組む子どもと若者のセーフガーディング~」と題し、子どもと若者と関わる活動をする組織を対象に、子どもと若者をあらゆる暴力や危険から守るためのセーフガーディングの取り組みについて、導入に役立つガイドや実践事例など最新情報を発表する機会を持ちました。
このプログラムは、JANICセーフガーディング・ワーキンググループのメンバーである、特定非営利活動法人チャイルド・ファンド・ジャパン、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン、認定NPO法人ACE(エース)と協働で実施し、ACEからは事務局次長、子ども若者支援事業チーフの成田が司会進行を務めました。国内や海外で子どもや若者を支援するNPO、NGOの方を中心に、大学生、社会人など18名の方がセミナーに参加しました。
子どものセーフガーディングとは
子どものセーフガーディングとは、団体のスタッフや事業活動が、子どもたちを危険や虐待のリスクにさらすことのないように努めるとともに、万一子どもの安全にかかわる懸念が生じたときは、しかるべき機関に相談・報告するという組織としての責任行動を指します。
日本国内ではまだ一般的に認知されていませんが、国際協力の場においては、NGOワーカーによる受益者への不適切行為や、団体による管理対応のあり方を疑問視する報道が相次ぎ、セーフガーディングとして守るべき基準を見直すことが喫緊の課題として指摘され、国際的な潮流となっています。
このプログラムでは、セーフガーディングとは何か、参加者にその重要性について理解してもらい、子ども・若者のための活動に取り組んでいたり、これから取り組みたいと思っている組織・人に、セーフガーディングの考え方や取り組み方を紹介することを目指しました。
子どもや若者をあらゆる暴力や危険から守るために組織ができること
セミナーの冒頭で、JANIC山田直樹さんより開会挨拶がなされた後、Child Fund Japan細井ななさんから「子どものセーフガーディング」についての詳細な説明がなされました。
セーフガーディングの概要説明と事例紹介を行った後、ACE成田のファシリテーションによるグループワークを実施しました。 グループワークでは、各グループ内で自己紹介と、各自が関わっている組織でセーフガーディングに関わる懸念・問題などの経験があるかを共有し、「セーフガーディングの関わる事例」をポストイットに書いて、グループ内で共有しながら模造紙に貼って頂くワークも実施しました。
グループでは、支援する子どもが暮らす活動地への訪問の際の交流の仕方、広報面で写真の扱い方、職員だけではなくインターンやボランティアなどの周知徹底方法などについての経験や課題などについて話し合われました。
次に、World Vision Japan池内千草さんより、どのようにセーフガーディングに取り組めるかについての発表があり、ワーキング・グループが制作した「子どもと若者のセーフガーディングの最低基準のためのガイド」の概要を説明しました。最低基準に含まれる要素の一例である「行動規範」について概要と、取り組み事例としてスタディツアー実施の参加者同意書の作成、リスク評価、相談・通報制度などについて紹介しました。
最後に、個人からの質疑応答の時間を設け、終了しました。質問では、行動規範を作るまでの時間的なプロセスや、国内で活動する団体のセーフガーディングの必要性や違いなどについて質問がありました。
参加者の感想
セッション後のアンケート回答者のうち14名中13名の方がセーフガーディングに関する理解が深まったと回答してくださいました。
参加者の声を一部、ご紹介します。
勉強になりました。「最低基準のためのガイド」はとても役に立つガイドとして活用させていただきます。
セーフガーディングのガイドの共有、ありがとうございます。団体での取り組みに活用したいと思います。
NGO業界で、この取り組みが進んできていることはとても意義が大きいことだと思います。
・グループワークを兼ねた構成で、他団体の取り組みや具体例も豊富に紹介していただき、理解しやすかったです。
「子どもと若者のセーフガーディングの最低基準のためのガイド」は、2020年2月に完成しました。今後はこのガイドを国内外で活動を行う団体に共有し、事業地の子どもや若者がより安全に守られる環境を確保できるようセーフガーディングの取り組みを広く周知していきたいと考えています。
報告:インターン根木梨伶
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2020.03.03