イスラム学校に通いはじめたサリーさんとアマさん(ガーナ)
ガーナではイスラム教徒(=ムスリム)が人口のおよそ15%を占め、なかでもガーナの北部はムスリムの割合がより高いと言われています。そんなガーナの北部は産業が少ないため、カカオ栽培の盛んな南部へ移住するムスリムが増えています。今回はムスリムの子どもたちをご紹介します。
「学校は楽しい!」笑顔を見せるサリーさん
ACEが支援を行っている村に住む10歳の女の子、サリー(仮名)さんは、2015年1月まで学校に行かず、親戚の家で家事やカカオ栽培を手伝っていました。ACEの活動を通じて発足した住民ボランティア組織「子ども保護委員会(CCPC)」のメンバーが、働いているサリーさんを見つけ、学校へ通えるように彼女の親を説得しました。メンバーや現地スタッフの説得を通じて、親はイスラム学校に通うことを許してくれました。その後学用品の支給を受けたサリーさんは、1年生のクラスに通っています。今ではすっかり学校に慣れ、好きな科目は算数だと答えてくれました。「まだ将来何になりたいかは分からないけど、学校に行くのが楽しい!」と笑った姿が印象的でした。
サリーさんは、トーゴとの国境に近いガーナ北部の村から家族とともに移住してきました。ガーナ北部はとても貧しく、カカオを栽培できるガーナ南部に移住するケースが多く見られます。ガーナ北部から移住してきた家庭の子どもは、言葉や文化の違いに戸惑い、学校に行きたがらないケースも多く、児童労働につながるケースも多いのです。
牛追いをやめて学校に通うようになったアマさん
ブルキナファソとの国境近くから移住してきた14歳のアマさん(仮名)は、お父さんと別のお母さんとその子どもたちと一緒に住んでいます。(※ガーナ北部では一夫多妻は珍しくありません。)アマさんの実のお母さんは、お父さんと離婚しており、アマさんは家族の面倒をみるため一緒に村へ移り住みました。学校には行かず、お父さんが世話をする牛を一緒に追いかけたり、トウモロコシ栽培などを手伝っていました。(※あくまでも牛の世話をしているだけで、牛の持ち主は別の人です。)その後CCPCが家族を説得し、今では学用品の支給を受けて学校に通うようになりました。
アマさんの家族は元々、マリ共和国からガーナへ移住してきたそうです。サヘル地域と呼ばれるマリやブルキナファソ、ニジェールなどは干ばつが頻繁に起こり、とても貧しい地域だといわれています。カカオ生産地よりもさらに貧しい地域からの移住者が今後ますます増えることが予想され、新たな対策が求められています。
イスラム学校の役割が大きくなっています
サリーさんとアマさんは隣の村にあるイスラム学校に通っています。二人はイスラム教徒(=ムスリム)で、家族もみんなムスリムです。ガーナ北部や周辺国からの移住者はムスリムであることが多く、キリスト教徒が多く通う公立学校よりもイスラム学校の方がなじみやすい傾向があります。イスラム学校の校長先生は「貧しい家族にも手を差し伸べるのがイスラムの教えです。子どもたちに教育を与えることは私たちの務めだ」と話してくれたことがとても印象的でした。隣村のイスラム学校では、移住家族の子どもを積極的に受け入れており、ACEの取り組みにも積極的に協力してくれます。
ムスリムであろうと、キリスト教徒であろうと、すべての子どもたちは教育を受ける権利を持っています。今後もガーナ北部や周辺国からのムスリムの移住者は後を絶たないとみられ、移住した家族の子どもたちが働かずに学校に通えるようになるために、今後ますますイスラム学校の存在が重要になってくるはずです。
一人でも多くの子どもたちを笑顔にするために!
働いている子どもたちを一人でも多く救い、学校に行けるように日々村の人たちとともに頑張っています。子どもたちが一人でも多く笑顔になるために、これからもご支援をよろしくお願いいたします。
ガーナの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!
- カテゴリー:子どものエピソード
- 投稿日:2015.12.01