幸せへのチョコレート

【ガーナ便り】 児童労働撤廃に役立つITとは?

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こんにちは、ガーナ・プロジェクト マネジャーの近藤です。

さて、1か月以上前の話になるのですが、出張に行ってきました。実は今回の出張はガーナへのモニタリングだけでなく、昨年に引き続き世界カカオ財団が開催するカカオの持続可能性を議論する国際会議に参加してきました。場所はこれまでと打って変わって、アメリカ合衆国のワシントンでした。(世界カカオ財団の本部がここにあります)

世界カカオ財団の会議の様子

世界カカオ財団の会議の様子

 

今回のカカオの会議の主なテーマは「Innovation and Technology」。当初はカカオの栽培に関する技術のことを話すのかと思っていましたが、むしろ今あるカカオをどのように売るか、あるいは気候や森林の状況をつぶさに情報技術でキャッチするシステム、さらにはカカオのトレース(生産地の証明)を情報技術で行うなどのシステムも紹介されていました。また学生や若手ベンチャーによるカカオの調達、販売アプリシステムのアイデア競争などのイベントも行われ、とてもエキサイティングなプログラムが満載でした。

実はこの中で、児童労働の有無についても情報技術で追跡できるシステムを進めているケースも紹介されました。今や児童労働問題はカカオ産業にとってもとても大きなテーマとなっており、児童労働がない、あるいはなくすように取り組んでいることの証明が、カカオの品質と信頼に大きく作用するようになっています。それをどうスマートフォンやインターネットを使って分かるようにするか・・・アプリの開発をはじめいろいろな機関が知恵を出し合っていました。

児童労働のモニタリングシステムの展示

児童労働のモニタリングシステムの展示

 

カカオの多くはいわゆる「開発途上国」で生産されていますが、今やそれらの地域でもスマホやインターネットなどはどんどんと広がっていっています。そしてそれらの地域の情報も世界のあちこちにいち早く伝わるようになってきています。

会議に参加しながら、私はふと住民自身の手でスマートフォンのアプリを使って、児童労働をモニタリングできたらいいのではないか?と思い立ちました。実際ガーナのプロジェクト地でも、スマートフォンを持っている人は明らかに増えており、例えば住民ボランティアの「子ども保護委員会(CCPC)」がスマホを持ち、児童労働のケースを見つけたらアプリを使って情報を送る、あるいは子どもの状況をアプリで管理することができればいいのでは・・・などを考えました。そして実際国際NGOの中にはそれに取り掛かっているところもあるそうで、ぜひ今後の活動に生かせないか、今いろいろ思考しています・・・

ところで、そんなガーナのカカオ生産地でも、「IT化」「情報化」の波は確実に押し寄せてきていることを目の当たりにしました。

ガーナの学校にはどこにも「ICTInformation Communication Technology)」という授業がありますが、私たちの活動地にはパソコンはもちろん、学校によっては電気も通っていないところがあります。そんなところでどうやってパソコンの授業をするのか・・・?と思っていたところ、なんとこの地域で「出張パソコン授業」が行われるようになったのです!

パソコンを積んだ車

パソコンを積んだ車

 

アシャンティ王(ガーナの伝統的な制度に基づく王様)の奥様が運営するNGOが主催となって、トラックにパソコンと発電機を積み、学校にそれらをセットして、すべての生徒にパソコンの使い方を教えていきます。

これまでは古いパソコンを1台使って周りの子は見ているだけ、という形だったのですが、おかげですべての子どもたちがパソコンに触れられるようになりました!

パソコンの授業の様子

パソコンの授業の様子

 

持続可能な開発目標(SDGs)のなかには、すべての人々がインターネットにアクセスできることをうたった項目(目標9.c)もあります。インターネットや情報に接することができれば、カカオの生産や販売にも役に立て、より多くの収入を得られるチャンスが増えます。そして環境や人権をまもり、そして児童労働から子どもを守るうえでの重要なツールとなる可能性もあります。

私たちACEも、子どもたちを守るためのITとの付き合い方を考えるときに来ているのかもしれない・・・そんなことを考えさせられた今回の出張でした。

ガーナ・プロジェクト マネジャー 近藤光

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  • カテゴリー:子ども・若者支援
  • 投稿日:2017.12.08