【ガーナ便り】人身取引から保護された子どもたちのその後
ガーナプロジェクトマネージャーの近藤です。
2017年5月20日から6月7日にかけて、ガーナ現地のプロジェクトのモニタリングをしてきました。
これまでACEが現地のパートナーCRADAとともに人身売買の被害者を保護し、その後その子どもたちの出身地に戻すための支援を行ってきましたが、その子たちが今どうなっているのかを調査するため、今回の出張では、ガーナ北部の村にも行ってきました。
今回は3人の子どもについて調査することができました。そのなかの1人、ノーザン州イーストマンプルシ郡に住むイブラヒム君(仮名)は、2年前の13歳のときにプロジェクト実施地の村で保護され、施設で保護された後に故郷に戻ってきました。現在は地元の小学校に通いながら、中学高校への進学を目指しています。私たちが訪れたときも笑顔であいさつしてくれて、とても元気そうだったのが印象的でした。家族も彼が学校へ行くことと教育の重要性を理解している様子でした。
しかしながら後の2人を訪ねたとき、問題は決して簡単ではないことを目の当たりにしました。 イブラヒム君と同じくノーザン州イーストマンプルシ郡の別の村に住むクワク君(仮名)は、イブラヒム君と同じ時期に救出され、地元に帰ってきたのですが、彼は最初は学校に通ったものの、すぐに辞めてしまったそうです。彼によると、学校の先生がほとんどおらず、また年下の同級生からからかわれるのがいやだったとのこと。そして家がとても貧しいため、学用品も変えないことから、学校に行くより畑で働くほうがいいと言って行かなくなってしまいました。
また、4年前に強制的に結婚させられて村に連れてこられたアニーさん(仮名/17歳は)、救出後地元に戻って小学校までは卒業したものの、中学校には進学せず、妊娠してそのまま別の町に移り住んでしまったとのことです。今回は両親とおじいさんに話を伺ったのですが、どうやら彼らもアニーさんの動向について十分把握している様子ではありませんでした。
この2つの家族に共通していことは、家が大変貧しく、子どもの教育を十分支援できなかったことがあります。またいずれの地域も学校環境が劣悪で、質の良い教育が受けられず、学校に行くことに意味が見いだせなくなることが挙げられます。そしてアニーさんの家のケースでは、すでに彼女が17歳であることもあり、両親は中学校に通わせるよりもそのまま結婚して暮らすほうがいいと考えている様子でした。
ガーナ北部は南部に比べてとても貧しく、それが人身取引の原因にもなってきましたが、そのことを改めて目の当たりにしました。
スマイル・ガーナ プロジェクトではプロジェクトを実施してから9年がたち、支援をした地域では児童労働がなくなり、子どもたちは安心して学校に通えるようになりました。しかしながらガーナ全体で児童労働をなくすには、まだまだ多くの課題があるのが現状です。私たちは今後、現場で児童労働をなくす活動を続けると同時に、ガーナ政府に対して国全体で児童労働をなくすための働きかけを行っていく予定です。
ガーナプロジェクトマネジャー 近藤光
- カテゴリー:お知らせ
- 投稿日:2017.08.04