【開催報告】第16回ACE交流サロン「カカオ生産地と日本企業の変化~ガーナからの声も届けます~」(「しあわせへのチョコレート」プロジェクト活動報告 2023)
2023年5月26日、「カカオ生産地と日本企業の変化~ガーナからの声も届けます~」と題して、第16回ACE交流サロンをオンラインで開催しました。今回は、ガーナのカカオ生産コミュニティで実施するプロジェクトの現地スタッフとリアルタイムでつなぐ、という初の試みにも挑戦しました。インターネットの環境が悪く直前までヒヤヒヤしましたが、何とか現場から生の声を届けることができ、チョコレート・カカオ関連企業や他法人会員企業、NGO、学生を含む個人の方々等、約50名の参加者のもと、盛況に終えることができました。
第一部: ACE「しあわせへのチョコレート」プロジェクトの進捗報告
前半では、白木朋子(ACE 副代表、共同創設者)と佐藤有希子(ACE ソーシャルビジネス推進事業 チーフ)より、ACEが2009年から実施している「しあわせへのチョコレート」プロジェクトの概要とガーナでの支援活動および消費者の啓発、企業との連携、政策提言などの事業横断的な取り組みにおける、最近1年間の活動ハイライトを報告しました。特にこの1年は、日本のチョコレート企業による児童労働撤廃へ向けた取り組みが前進し、メディアで取り上げられる機会が増えたこと、そしてACEも参加している「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」(事務局:JICA)では、「児童労働撤廃に向けたセクター別アクション」を策定し発表したことなどを報告しました。また、ガーナ政府が進めている「児童労働フリーゾーン(CLFZ)」制度の構築については、2020年11月から2022年6月までに実施したJICA調査事業からの学びについても簡単に報告しました。
第二部: スマイル・ガーナ プロジェクトの報告
後半では、初めに、赤堀友希(ACE ガーナプロジェクト マネージャー)より、スマイル・ガーナ プロジェクト フェーズ5(2018‐2022年実施)の活動報告として、終了時評価の結果について発表しました。対象コミュニティで、児童労働をしていると特定されたすべての子どもが学校に通うようになったことや、子どもの就学率や出席率が向上したことが特に大きな成果で、その背景には「子ども保護委員会」による見回り活動や、児童労働やそのリスクのある子どもたちへのカウンセリング、必要に応じた郡への報告や橋渡しをしたことなどが貢献しました。また、学校環境の整備、教員の能力強化、家庭で教育の重要性が認識されたことなども就学率と出席率の向上につながり、子ども自身が子どもの権利を知ることで意見を言えるようになったことも成果の一つとして挙げられました。
プロジェクトの報告後は、ガーナとつないで現地パートナー団体CRADAの2人のスタッフ、シャロン・アマンクワーとクワメ・アクルグより話を聞きました。カカオ農園で子どもたちがどのような労働に従事しているのか、最近目撃した学校に行かずに働いていた2人の子どものケースにどのように対処したか等、現場からの臨場感あふれる話を聞くことができました。また、給食や教材支給等、効果を上げた支援がある反面、移住者への支援、カカオ農家の収入向上のための支援が必要であること等、次のフェーズで取り組むべき課題も同時に明らかになりました。
参加者からのアンケートでは、「現地の方から直接話が聞けてよかった。」「どのようなことが解決の力になれるのか知ることができた。」「主体的にチョコレートのサステナビリティに取り組まれている企業が多いことを実感した。」「子ども自身が子どもの権利に気づき変化を起こそうとしていることが前進につながっていることが印象的だった。」「消費者として今後は企業や商品を意識して購入しようと思った。」等の感想が寄せられました。
企業の方々の取り組みが進むことで、少しずつ世論が喚起されてきています。プロジェクトとして現地に寄り添いながら、国際的なカカオ産業における児童労働の課題において、日本としての役割を果たすべく、より大きなスケールで企業や政府などの関係者と一緒に問題に取り組んでいきたいと思っています。本プロジェクトへのさらなるご参加、ご協力をお待ちしております。
クラウドファンディング実施中です
2023年7月31日までに1500万円を集めることを目標に、クラウドファンディングに挑戦中です。ACEの活動にご賛同そして応援いただける企業・個人のみなさま、ぜひご支援をよろしくお願いいたします。
詳しくはこちら:子どもの権利をあたりまえに!今、ACEと一緒に未来へのアクションを
報告会の一部を公開しています
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2023.06.06