コットンのやさしい気持ち

【インド便り】児童労働のリスクが高まる子どもたち、予防策を模索しています

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みなさん、こんにちは!インド・プロジェクトマネージャーの森です。いつもACEの活動への温かいご支援をいただき、ありがとうございます。

ACEは、インド・テランガナ州のコットン生産がさかんな農村地域で、現地パートナー団体SPEEDとともに、児童労働から子どもを守り教育を支援する「ピース・インド プロジェクト」を行っています。 

今回のインド便りでは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって学校へ通わなくなってしまった子どもたちの様子とその背景をお伝えし、児童労働に従事するリスクが高まっている子どもたちに対しての、私たちの取り組みをお届けしたいと思います。

学校に行けず児童労働のリスクが高まる子どもたち

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、児童労働をしている子どもたちだけではなく、これまで学校に通っていた子どもたちも教育機会を喪失しています。

現在、プロジェクト実施地で公立・私立学校に通う子どもたち1,364人のうち、100人の子どもが定期的に学校に通っていないことがわかっています。

これまで児童労働に従事していると特定されていなかった子どもたちも、学校に通っていない間に親が畑に連れていくケースが見られるなど、児童労働のリスクが高まっています。

コロナの影響で登校に不安を感じて自粛しているケースもありますが、親の収入が不安定になり、これまで通っていた私立学校の学費を捻出できずにいる子どもたちもいます。SPEEDは、そのような子どもたちに公立学校への転校を促したり、集会や見回りを通して適切な対策によってコロナと共存できることを伝えたり、子どもたちが学校へ戻ることができるよう働きかけています。

家庭訪問の写真

プロジェクトスタッフによる家庭訪問の様子

学校に行けない背景

公立学校では現地の言語であるテルグ語で授業が行われ、一方、私立学校では全ての教科の授業が英語で行われています。私立学校に通う子どもたちは、日常生活ではテルグ語を話していますが、学校では全ての授業を英語で受けているために、テルグ語の授業に大きな不安があるようです。

言語に対する不安感は子どもたちが転校をためらう一因であるため、子どもたちの抱える不安の軽減は、プロジェクトが直面する課題のひとつです。

また、私立学校は課外活動などのアクティビティも充実しているため、公立学校での活動内容と比較して、転校をためらっている子どもたちもいるようです。

子どもにとって、転校で環境が変わることによるストレスや不安はとても大きいものであるため、すぐには転校するという選択をすることができず、それが学校に行かない状態が長引いている一因となっているのです。

私たちができること、子どもたちが学校へ行けるように

一方、仕事をしている親たちの中には、学校に通っていない子どもを家に置いて出かけることができず、コットン畑などの職場に連れて行く様子も見られます。今は親の仕事の様子を眺めているだけであっても、不登校の期間や畑にいる時間が長引くほどに、親が一緒にいる子どもの力を借りようと思うようになり、児童労働のリスクは高まります。

現地では今月から雨季が始まり、コットン種子栽培の仕事が忙しくなります。過去2年間はコロナの影響で雇用が激減していましたが、今年はコットン畑での仕事が増えると言われています。親の収入が増える今こそ、子どもたちが学校に戻るチャンスです。

SPEEDは、村の見回りを毎日行い、子どもやその親に対して学校へ通うように説得を続けています。児童労働のリスクや、一時的に公立学校に転入する選択肢、コロナとの共存について伝えながら、教育機会喪失の時間が少しでも短くなるよう働きかけています。

実際に、この1週間で13人の子どもがSPEEDスタッフの説得によって、公立学校に再び通うようになりました。

コットン畑の写真

コットン畑の見回りをしている様子

 

また、ピース・インド プロジェクトが運営する「学校運営委員会(SMC)」は定期的な会議を行い、学校のインフラや子どもたちの教育環境の問題を話し合っています。そして、公立学校への転入生が増える可能性を念頭に、行政へ公立学校における施設の整備や教員の確保を要請し、課題を共有し解決策を検討するための情報提供を行っています。

プロジェクトでは、活動地の村に住む子どもたちによる「子どもクラブ」の活動にも力を入れています。

子どもクラブでは、子どもたち自身が直面する問題点や課題、他の子どもたちが抱える問題への解決策などを自分たちで考えるミーティングを月に1回開催しています。みんなで一緒に勉強したり身体を動かす時間もあります。

この活動を通して、様々な背景をもつ子どもたち同士の交流をこれまで以上に促し、子どもの関係性のエンパワメントに注力しています。お互いの問題や胸の内を話せる環境を作ることで、学校における言語やアクティビティに対する不安の解消に少しでもつながることを願っています。

子どもクラブの写真

子どもクラブで一緒に勉強をしている様子

子どもクラブの写真

子どもクラブで身体を動かす様子

ピース・インド プロジェクトでは、このような地道な活動を続けていますが、まだまだ問題の根本的な解決へは繋がっていません。コロナ禍に巻き込まれてしまった子どもたちのことを考えるととてももどかしく、全ての子どもたちが学校へ通うことができるよう、大きな効果を出せる活動とは何か、日々模索しています。

私たちは、子どもたちや現地の人の声に寄り添いながら、これからもSPEEDとともに効果的な活動を続けていきたいと思います。

引き続きの応援をどうぞよろしくお願いいたします!

インド・プロジェクト マネージャー 森

インドの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!

コットン募金

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2022.06.27