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【ガーナ便り】支援地2村での活動を完了!児童労働はゼロ、学校の出席率は100%に

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みなさん、こんにちは!いつもACEの活動への温かいご支援をいただき、誠にありがとうございます!ガーナ担当スタッフの赤堀です。

今回は、2018年2月から活動をしてきた支援地での活動完了のご報告と、プロジェクト完了時のインタビューから子どもたち、保護者の声をお伝えします。

4年7カ月間にわたる活動の完了!プロジェクト評価を実施しました

スマイル・ガーナ プロジェクトは、2018年2月から活動をしてきた支援地2村での活動を2022年8月で完了しました。活動期間中に、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンや学校閉鎖があり、活動期間を延長していたため、今までで最も長い4年7カ月間の活動となりました。

プロジェクト開始前、2村の幼稚園~小学校の出席率(※1)は50%前後で、児童労働も散見されていたのですが、プロジェクトが完了した2022年8月、2村での児童労働はゼロ、幼稚園~小学校の出席率は2村共に100%を達成しました!プロジェクト期間中、141人の児童労働をしていた子どもが子ども保護委員会(CCPC)に発見され、学校に戻りました。

※1 2村とも村内に中学校がないため、小学校までの出席率を確認しています。

プロジェクト完了時には、子どもたちや教員、保護者(カカオ農家)などにインタビューやグループディスカッションを行い、プロジェクトの活動が児童労働の撤廃にどれ程役立ったのか、子どもを見守るための仕組みは持続的なものになっているのかなど、複数の視点から評価しました。さて、今回はそのうちの一つ、児童労働をしていた子どもとその保護者へのインタビューを2つご紹介します。

子どもたちとのグループディスカッションの様子の写真

子どもたちとのグループディスカッションの様子

 

「プロジェクト終了後も子どもを学校に通わせ続けます」 アドワさんとお母さんのお話

11歳のアドワさん(仮名)は長女で、4人の弟と妹がいます。両親が離婚し、お父さんは行方不明に、お母さんは都会に出稼ぎに行っていたので、アドワさんを含む子どもたちはおばあさんの家に預けられていました。アドワさんは元々学校に通っていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で9か月間学校が閉鎖していた間、幼い弟・妹たちのお世話をしながら家族みんなの食事を作っているところを子ども保護委員会(CCPC)が発見しました。
子ども保護委員会(CCPC)はアドワさんとおばあさんにカウンセリングし、学校が閉鎖している間も子どもに学習の時間を確保すべきこと、学習すべき時間に家事をさせてはいけないことを伝えました。また、お母さんにはプロジェクトの収入向上研修に参加するよう伝えてほしいとお願いし、学校再開時には学用品一式を渡して、学校に行くよう促しました。現在、アドワさんはお母さんと暮らしており、小学校4年生のクラスに毎日通っています。お母さんは収入向上研修(お米栽培)にも参加しました。インタビューで、アドワさんとお母さんは次のように話してくれました。

質問に答えるアドワさんとお母さんの写真

質問に答えるアドワさん(左から2番目)とお母さん(右から2番目)

 

アドワさん
Q:学校は楽しいですか?
A:勉強、給食、学用品(があること)、それと遊ぶことが楽しいです。勉強は、算数と英語が好き。学用品と給食のおかげで、学校に行くのが楽しくなりました。

Q:小学校を卒業したら、勉強を続けたいですか?
A:お母さんやおばあさんの面倒を見るために、学校に通い続けて、立派な職業につきたいです。

Q:働いている子どもがいたら、どんな言葉をかけたいですか?
学校へ行くように言います。学校に行けば、給食と学用品がもらえるから。

アドワさんのお母さん
Q:お子さんが再び学校に行き始めてからとその前とで、何か違いを感じましたか?
A:娘は、学校が閉鎖する前は学校に行くことを嫌がっていました。でも、プロジェクトの支援(給食と学用品)を受けてからすっかり変わりました。今では学校に行く意欲を持ち、そんな姿を見て私たち家族も安心しています。

Q:お子さんの学校生活を支える中で、プロジェクトからの支援はどのように役立ちましたか?
A:プロジェクトの支援を通して、子どもの教育資金を貯め、家族を養うための収入を得ることができるようになりました。収入向上研修(お米栽培)で学んだ技術を応用して、子どもを学校に通わせるためにお米の収穫量を増やしました。教育の重要性も学んだので、プロジェクトが終わった後も子どもを学校に通わせ続けます。

「看護師になって、周りの人たちの命を守りたい」 ヤオさんとお母さんのお話

ヤオさん(仮名)も、アドワさんと同い年の11歳、5人兄弟姉妹の長男で、お父さんとお母さんと暮らしています。ヤオさんも元々学校に通っていましたが、休校していた間に、両親と一緒にカカオ農園へ行き、草刈りや収穫したカカオポッド(さや)の集積をするようになりました。ヤオさんは長男として、カカオ農園でケア・テイカー(※2)と呼ばれる小作人として働く両親を助けたいという思いがありました。学校が再開した後も、カカオ農園で働くために学校を休むことが時々あったので、このことを保護者との意見交換会(TWP)(※3)で発表しました。
これを聞いた子ども保護委員会(CCPC)は家を訪ねて両親と相談し、ヤオさんを毎日学校に行かせるよう説得しました。プロジェクトからは学用品一式を提供しました。その後、ヤオさんは毎日学校に通っており、来年1月には進級して小学校5年生になります。

※2 カカオ農家の地主のもとで働き、収穫の一部を地主に収める雇用形態。詳細は【ガーナ便り】雨不足で干乾びたカカオ、農家の収入が減少しています | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)を参照。
※3 Time with Parents。子ども、保護者、教員、子ども保護委員会 (CCPC)などが集まり、子どもの権利や親の義務、子どもの気持ちを話し合う会。年に一度開催。

質問に答えるヤオさんとお母さんの写真

質問に答えるヤオさん(左)とお母さん(中央)

 

ヤオさん
Q:学校では、何をしている時が楽しいですか?
A:サッカーをしている時が楽しい。勉強は、英語が好きです。

Q:学校に通い始めてから、家族との関係は変わりましたか?
A:学校でも家でも、学用品や基本的な生活必需品を小まめに買ってもらえるようになりました。

Q:学校の先生や同級生との関係に満足していますか?
A:満足しています。授業で習ったことを上手く理解できない時、先生がもう一度教えてくれます。同級生は、僕の勉強を手伝ってくれます。

Q:小学校を卒業したら、勉強を続けたいですか?
A:はい。続けたいです。将来は看護師になって、周りの人たちの命を守りたいから。

ヤオさんのお母さん
Q:お子さんが働いていたときと、働くのを止めて学校に行き始めてからとで、何か違いを感じますか?
A:息子は、勉強することに前向きになり、成績も上がりました。

Q:お子さんの学校生活を支える中で、プロジェクトからの支援はどのように役立ちましたか?
A: 学校に行けば給食が食べられるので、子どもがお腹を空かせることがなくなって、とても助かりました。

Q:プロジェクト終了後も、お子さんを学校に通わせ続けることができると思いますか?
A:はい、通わせ続けます。子どもに義務教育を受けさせることがコミュニティ規則で決まったからです。この規則は、子どもを常に学校に送るよう、私を促してくれます。

インタビューを通して見えてきたもの

児童労働をしていた子どもと保護者へのインタビューは、8つの家庭で実施し、全ての家庭が、プロジェクトの終了後も子どもたちを学校に通わせることができると回答しました。前述のインタビュー事例の内容にもありますが、保護者が子どもを学校に通わせ続けることができる理由として挙げたのは、次のようなものでした。

・プロジェクトの収入向上研修によって保護者の収入が改善されたから。
・子どもに対する保護者の義務や、子どもの権利について知ったから。
・コミュニティ規則で、子どもの教育機会を保障するのは保護者の義務であることが明記されたから。

これらの回答から、収入向上などの経済的な改善だけではなく、「子どもの権利」や「保護者の義務」といった概念を保護者が認識したことで、家庭内での教育に対する優先順位が上がり、子どもの学びに対する保護者の態度が変化したと考えています。また、村の関係者と郡の関係者で作成した子どもの保護に関するコミュニティ規則も、保護者の行動を変えるだけの影響力を持つということが分かりました。

一方で、学校給食については、2村のうち1村で保護者からの寄付金が集まりにくくなってきていること、学用品については、プロジェクトが経済的に困窮した家庭の子どもに提供していましたが、プロジェクト完了後、それを担う仕組みが村の中で確立していないことなど、課題も見えてきました。これらの課題については改善策を検討して、新たな支援地での活動内容に反映し、さらに持続性のあるプロジェクトにしていこうと考えています。

現在、評価結果を報告書にまとめています。報告書ができあがったら、改めて皆さんにご報告させていただきます!また、新たな支援地の状況や、更にブラッシュアップした活動内容についても、今後のガーナ便りで共有させていただきます!
今後とも、応援いただけますと幸いです!どうぞよろしくお願いいたします。

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注:ニュースをご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、2022年12月19日、ガーナの財務省が会見を開き、対外債務の支払いを一部停止したことを発表しました。事実上のデフォルト(債務不履行)に陥ったことを意味しますが、国際通貨基金(IMF)による約30億ドルの金融支援について協議も進められているようです。現地住民の生活やプロジェクトへの影響などが心配されますが、現地パートナー団体と密に連絡を取りながら、まずは情報収集に努めてまいります。

ガーナ担当 赤堀 友希

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2022.12.22