児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ(single-blog)

児童労働

2017年9月13日

NGO Forum for Alliance 8.7

2017年9月12日、13日と、世界中から現代奴隷・児童労働などに取り組む NGO の代表者が集まる会議、NGO Forum for Alliance 8.7 がロンドンで行われています。 Working together to end modern slavery and child labour という副題の通り、SDG8.7 の、現代的奴隷・強制労働・人身売買・児童労働の撤廃に向けて、NGO としてどのように ILO が提唱している国際枠組み”Alliance 8.7″に engage していけるのか、といことを探るための会議です。
http://www.alliance87.org/

 

今回のこのフォーラムの主催団体、The Freedom Fund は 2014 年に複数の団体・フィランソロピストが立ち上げた団体。現代的奴隷に取り組む団体です。 Global Slavery Index を発表しているWalk Free Foundation などとも、姉妹団体のような形のようです。
https://freedomfund.org/

 

 

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The Freedom Fund CEO の Nick Grono さんがレセプションにて挨拶

 

今回の会議への招待は、私が Global March Against Child Labour の理事であるからのようで す。急な招待で、日本ですでに予定していた講演の講師を白木に交代するなど、ご迷惑をおかけ してしまったのですが、世界の同じ問題に取り組む団体の代表レベルの方々が集まる会議に、ど うしても行きたい!となり、無理いって参加を決めました。

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レセプションにて、児童労働に反対するグローバルマーチ代表の Tim さん、フィリピンで児童労働 に取り組む Cecilia さんと

 

細かいことですが、空港には私の名前を持ったタクシードライバーが待機してピックアップしてくれ て、先進国の NGO でも渡航費も宿泊費も全部もってくれて、本当に助かります。(こんな大事にさ れている感じの NGO の会議はなかなかありません)

 

ちなみに The Freedom Fund は現代的奴隷、強制労働、児童婚などの問題に取り組むイン ド、ネパール、エチオピア、タイなどの団体と連携して、8,923 人を解放してきた、とその 報告書にはあります。今回の会議は、そのようなプログラムを担うパートナー団体を含む、 約 65 人以上が参加しています。

 

1 日目の午前は、ILO で Allaince8.7 を主に担当している Beate さんに質問を投げかけるセッションと、それをもとに、5つのグループに分かれて、NGO がどのようにこの Allianceに engage していくべきか、障害やチャレンジはなにか、ということを話し合いました。

 

私は事前にそのグループディスカッションの Rapporter を依頼されていました。どのような経緯で私に白羽の矢が立ったのか全くわかりませんが、参加者の前で話さないと、日本から NGO が来ているということすら認識されない可能性があります。これはチャンス!と、 やります!といいました。

 

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私のグループは、タイ、ガーナ、ヨルダン、パキスタン、コスタリカ、イギリス、アメリカ、、 日本、ヨーロッパから、12 人。同じ Global March の理事であるコスタリカ出身の Virnigia に書記をあらかじめお願いし、1 時間ちょっとの議論を行い、それをまとめて全体に報告す る、という役目でした。

 

日本語でワークショップをやって要点をまとめるのは普段慣れているのですが、英語でやるとなるとまたちょっと別です。また、ビジュアルも何もないと、10 分間、ノンネイティブのわかりにくい英語の報告をただ聞くのでは、聞いている方も印象に残りずらいと思い、急 遽、まとめを作って、発表しました。(ちなみにでかいフリップチャートは、グループディ スカッションをファシリテートしながらも、使いました。)

 

要点をまとめ、与えられた時間内に、同じグループからの追加コメントができる時間ものこして報告を行い、無事役目を果たせたと思います。コメント追加ありませせんか、とグルー プメンバーに問いかけたら、パキスタンからの参加者が手を挙げてくれて、コメントがある のかと思ったら。「OK だよ!」というサインでした。

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そもそも現代的奴隷をどう定義したらいいのかについては、この後詳しく書こうと思いま すが、この会議に参加して感じたことは「日本の NGO とつながっている団体がほとんど皆 無」だったということです。

 

会議前日のレセプションで、欧州をベースに世界各国に事務所を持つ比較的よく知られて いる国際 NGO の会長さんにお会いしたのですが、

 

「日本に NGO ってあるの?あなたが、日本の NGO の人で会う初めての人よ」
(彼女はボランティアで会長をやっているそうなので、プログラム実施にかかわったこと がない故かもしれなませんが)

 

と言われたり、

 

米国の人身売買に取り組む団体(日本にも関係団体があり)の人から 「こういう会議に日本人がくるって珍しいよね」と言われたり。

 

いい悪いではなく、とにかくそういうリアクションがあったことがひとつ。

 

そしてもうひとつは、この同じ2人の人と話をする中で、例えば日本に消費者教育推進法が できたり、ACE が消費者教育向け教材を販売しそれが自己財源にもなっているという話や、 休眠預金法の話などをする中で、このお二人が「そうなの!もっと聞かせて!」「それって すごいいアイディアだよね!」というようなリアクションがあったことです。

 

つまり、日本の市民社会で起きていることや、日本の NGO がやっている Good Practice は、 他国で活動を展開している NGO にとっても、inspirational であり学ぶものがあるかもし れない、ということなんです。 こういう国際会議に来ると、「とにかく学ばせてもらう」というマインドにどうしてもなっているのですが、今日 1 日を通じて私が感じたことは、「児童労働については、やはり自分はエキスパートの域に入っている」ことと、「大局的にアドボカシーの機会をとらえようと している少ない人の1人かもしれない」ということです。

 

私のグループでの発言や、全体会でのコメントを聞いて「君は Big Picture を捉えているね」 と言ってくださった方がいて、ああ、そうなのかもしれない、と思いました。 児童労働に関する ILO 条約の内容、定義、ILO のグローバル推計の出し方やその背景、国 連ビジネスと人権指導原則にからめた動き、SDGsや HLPF(High Level Political Forum)の動き、その関連するすべてを網羅してわかっている人は、その会場にいるごく少数、もしかしたらほとんどいなかったかもしれない、とうことです。

 

自分でそんなことをいうのもおこがましい感じですが、驚きとともに、そういえばかれこれ 20 年間、児童労働一筋でやってきているもんなぁ、いろいろなアドボカシー活動にも参加させてもらってきたもんなぁ、とその蓄積が自分の中に確実にあることを、確認したのでした。

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Dinnerの様子

 

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