2006年11月13日
フェアトレードチョコレートを扱うEqual Exchangeを訪問
Equal Exchange(イコール・エクスチェンジ)は1986年に設立されたフェアトレード会社である。この会社そのものが協同組合として活動している会社としてはユニークな存在である。
この協同組合という制度がフェアトレードの軸となっている。この会社は各地域の協同組合と直接交渉、取引を行うことで、仲介業者を減らし価格を抑える一方、その分を協同組合及びコミュニティーに還元し、コミュニティーの向上を図るというものだ。世界各地の協同組合とコーヒー、紅茶、砂糖、ココアなどの製品に関して取引を行っている。
この会社を訪問した理由は、フェアトレードと児童労働との関連を明らかにすることがある。チョコレートの生産に児童労働が関わることが公になって以来、フェアトレードチョコレートが「児童労働が関わっていないチョコレート」として取り上げられる機会が増えた。現在アメリカのチョコレート市場の約1%をフェアトレードチョコレートが占める。
イコール・エクスチェンジの広報担当ロドニー・ノース(Rodny North)さんと、チョコレート製品マネージャーのダリー・グードリッチ(Dary Goodrich)さんに話を聞いた。
アメリカにおけるフェアトレードの広がり
フェアトレード製品は「グルメ市場」の拡大を受けその指示を広げてきた。コーヒーとチョコレートはいずれも消費者の高級製品への志向をとらえ、オーガニック製品などの高品質の商品を提供するだけでなく、そこに生産者への還元という付加価値をつけた。1986年からニカラグア産コーヒー豆をとり扱い、その後エル・サルバドル産など品種を増やした。1996年には小規模協同組合へ収穫前の融資を米国のコーヒー会社として始めて提供した。
バナナチップ、はちみつ、ツナなどの製品を開発し、失敗を重ねながら扱う製品を選定してきたイコール・エクスチェンジは、2002年からカカオ関連製品を取り扱い、売り上げが1千万ドルを超えるヒット商品となった。コーヒーの大口顧客であった教会関係者から、子どもたちが飲めるものも欲しいという声があり、フェアトレードの認証を受けたカカオ豆と砂糖を使ったココアと、チョコレートバーを販売した。この原材料のカカオは西アフリカではなく、ドミニカ共和国とペルーが原産地である。また、砂糖はパラグアイとコスタリカ産のものを扱っている。ドミニカ共和国のCONOKADOと呼ばれる15000人の生産者を持つ協同組合と提携している。これらの原材料はすべてフェアトレード認証団体であるトランスフェアーの認証を受けている。Transfair USA(トランスフェアーUSA)のホームページによると、この認証を受けたフェアトレード製品の条件は、正当な価格が生産者に支払われること、強制的児童労働の禁止を含めた結社の自由があり、安全な労働環境が保障されていること、直接的貿易(仲介業者の削減)、民主的で透明性のある組織体制、地域開発、持続可能な環境保護などである。
フェアトレードには児童労働がない
トランスフェアーUSAのホームページのカカオプログラムのページによると、児童労働は厳しく禁止されており、視察が行われているという記述があった。イコール・エクスチェンジが会社として児童労働がないかモニタリングをしているわけではないので、厳密には生産プロセスに子どもが関わっているか否かについてこの会社が直接証明するための情報やメカニズムがあるわけではない。つまり、フェアトレードラベル認証機関が、児童労働がないことを認証システムを通じて担保しているという仕組みになる。
フェアトレードが協働組合との取引の上になりたっており、賃金保障により児童労働の要因となる貧困、経済的困窮の改善は期待できる。この協同組合はときに地域の教育システム、衛生管理など、本来政府が行うべきサービスが不十分である場合、それを補完する機能を果たしており、その局面からも子どもの福祉に役立つことが想定される。
取り扱っているカカオ関連の商品は写真のとおり。ちなみにこのココアはオフィスの同僚には人気が高かった。右側の小さなチョコレートはハロウィン用。