2021年6月25日
沖縄慰霊の日
このコラムを始めたとき「どんなことをいつ書くか、計画しよう」と思っていたのに、結局、毎週、行き当たりばったりで書いてきてしまった。ただ一つだけ、「この日はこれを」と決めてカレンダーに書いておいた日がある。あす六月二十三日の沖縄慰霊の日だ。
私と沖縄の縁はそれほど深くはない。初めて行ったのは二十五年ほど前。那覇から北部までドライブし、車窓の横に延々と続く塀を見て「こんなに基地が占めているのか」と驚いた。そして、コロナ前の数年間は仕事で年に数回、通う程度だった。
あるとき、「最近の学生は慰霊の日のこともよく知らない」と大学の先生が嘆くのを聞き、自分自身が知らなかったことを恥じた。
第二次世界大戦で民間人十万人が犠牲になった沖縄戦が司令官の自決によって、事実上、終わった日が「慰霊の日」である。県民の四人に一人が亡くなったその哀しみも大きいが、何かと本土の政府に虐げられてきた歴史と、それに対する「憤り」と「諦め」、そして、沖縄人としての「誇り」を、ウチナーンチュ(沖縄人)とのふとした会話で感じることがある。
このコラムは結論や解決策が決まっているときは書きやすく、そうではない時は難しい。今回は後者だ。残すところあと一回となったこの連載、さてどう終わろうか。
NPO「ACE」代表 岩附 由香
(2021年6月22日の東京新聞・中日新聞夕刊コラム「紙つぶて」に掲載)