2014年10月10日
ノーベル平和賞、マララさんと同時受賞のカイラシュ・サティヤルティさんとは
ノーベル平和賞が発表になりました!
マララさんとノーベル平和賞を同時受賞されたカイラシュ・サティヤルティさん(Kailash Satyarthi)は、私たちACEにとって、立ち上げのきっかけとなった恩師であり、児童労働問題に取り組む先輩であり、尊敬する人物です。
私たちはカイラシュさんと呼んでいますが、そんなカイラシュさんが受賞されて、本当にうれしいです! 関係者の方の電話で知り、その直後NHKから取材依頼の電話が来て、うれしさと興奮と、これで児童労働の問題解決に一歩前進するかもしれないという期待とで、涙があふれてきました。
これをきかっけに、世界中の人たちが、児童労働問題に関心を持ってくれれば・・・と願っています。
ACEとカイラシュさんとの関係
実はACEを私が立ち上げたのも、カイラシュ・サティヤルティさんがはじめられた「児童労働に反対するグローバルマーチ」がきっかけでした。
1997年当時、学生だった私は、「児童労働に反対するグローバルマーチ」が世界で100ヶ国以上で開催されることを知り、日本でも児童労働問題を伝えるためにマーチをしたい!と思いました。しかし、グローバルマーチ本部からの呼びかけに対し、どの日本の団体も手を上げませんでした。
このままでは、世界中の人が協力して児童労働問題の関心を高めようというせっかくのチャンスを、逃してしまう。そう思った私は、一晩で趣意書を書きあげ、「児童労働に反対するグローバルマーチ」を日本で行うために、ACEを立ち上げたのです。
1998年、日本で開催した「児童労働に反対するグローバルマーチ」に参加するACE代表 岩附(左)
それから17年。グローバルマーチにインスパイヤされて活動をはじめたACEも、1000人以上の子どもたちを救ってきました。こんな風に、カイラシュさんに触発されて活動をしてきた人たちは、世界中にたくさんいると思います。
子どもたちを児童労働から守るための取り組み
カイラシュさんは1980年からインドで児童労働に取り組む団体、BBAを立ち上げ、実際に80,000人の子どもたちを過酷な児童労働の状況から救ってきました。それだけでなく、Global March against Child Labour(児童労働に反対するグローバルマーチ)、Global Campaign for Education(教育のためのグローバルキャンペーン)など、世論を動かし、政府を動かすアドボカシー活動を行ってきました。直接助けた子どもたちの数に加え、政策を変え、児童労働に取り組む人たちを増やし、そこに資金を動員することにも尽力をしてきたカイラシュさんは、何百万人もの子どもたちの現状を変える原動力になってきたと思います。そんな存在は、本当にノーベル平和賞に値すると思います。
彼自身、命をかけて活動を続けてきました。児童労働は働かせる側からすれば、救出しようとする側は敵です。そのため、仲間が襲われたり、本人も救出しようとして襲われ怪我をしたりなど、これまで何度も耐えられないような苦渋にもあってきました。それでも、子どもたちのため、児童労働撤廃のために、あきらめずに一貫して、まだ誰も児童労働に注目していなかった頃からそこにみなの目を向けさせることに尽力してきたカイラシュさんです。
彼の功績が称えられるだけでなく、これをきっかけに児童労働問題に注目が集まることを期待します。
カイラシュさんと一番最近に会ったのは、昨年10月にブラジルで行われた児童労働世界会議です。会議最終日、今後児童労働撤廃に向けて2015年以降の開発目標に、児童労働撤廃が含まれるためにはどうしたらいいか、話し合いました。2015年の国連総会で決定する開発目標に、児童労働撤廃が含まれるよう、願っています。