2021年1月5日
夢
皆さんはどんな初夢を見ただろうか。私は夢を比較的鮮明に覚えているタイプ。あまりにもおもしろいので、起きてすぐその夢をノートに書いたりするほどだ。政治家、友人、先生など、登場人物も入り交じり、支離滅裂なストーリーが多いのだが、不思議と夢の中でもその本人のキャラクターが出ていたりする。
ある時、こんな夢を見た。襲われ、自分が殺されそうになっている。そこで私は「まだ児童労働の問題を解決していないのに、死ねない!」と焦ってるという夢だ。この夢を見た翌日、たまたまACE著「チェンジの扉」という本のインタビュー取材があり、雑談のつもりでこの話をしたら、本の一部に採用された。図らずも忘れられない夢になってしまった。
児童労働の問題と出合い、学生時代にACEという団体を設立したのが一九九七年。気づけば二十年以上もこの問題に取り組んでいる。当時、NGOの若手リーダーと呼ばれた私も、気づけば中年。二〇〇七年に出した私たちの著書を「小学生のころに読んだ」という大学生や社会人に出会うようになり、時の流れの速さに驚いてしまう。
児童労働の問題を解決する。文字通り夢にまで見る私の人生の夢。新年の目標を立てる人も多いと思うが、改めて自分の夢は何かを振り返ってもいいかもしれない。
NPO「ACE」代表 岩附由香
(2021年1月5日の東京新聞・中日新聞夕刊コラム「紙つぶて」に掲載)