2021年2月17日
わきまえない女より
拝啓 森喜朗様。五輪組織委員会の会長をお辞めになりましたが、それで 「女性が多いと、会議が長くなる」など一連のご発言が許されるはずはなく、お便りさせていだきました。
私は重要な会議に、女性が少ないことに違和感を覚えます。最たる例が国会。日本のジェンダーギャップ指数のランクは百五十三カ国中、百二十一位、政治に至っては百四十四位です。「ジェンダー後進国」とされ、今回のご発言で「なるほどね」と世界を納得させてしまいました。
ご発言の裏には「会議に時間がかかるから、女性を増やすのはやめよう。面倒だ」とのお考えがあるように見受けます。日本には、男性中心で、何事も「シャンシャン」と決める会議がいまだに多くあります。会議とは本来「多様な意見」や「本質的な問い」を出し合い、議論して答えを導き出す時間のかかるプロセスではないでしょうか。
また「女性は競争意識が強い」から女性の発言が続くと言っていましたが、私自身、ライバル心から発言したことはありません。「わきまえておられる」というご発言も、ご自身の期待に応える女性が偉いといった「上から目線」を感じます。
ご発言は「これだから、女は」というレッテル貼りそのものです。最後に、四十分も演説されたとか。会議を長引かせたのはあなた様では。わきまえない女より。敬具。
(2021年2月17日の東京新聞・中日新聞夕刊コラム「紙つぶて」に掲載)