2021年2月9日
チョコと児童労働
バレンタインと言えばチョコレート。原料カカオは赤道周辺の地域で生産され、最大の生産地は西アフリカ。生産量一位コートジボワールと二位ガーナで計百五十六万人の児童がカカオ産業で働いている。この推計が昨年、米シカゴ大で発表され、多くのチョコレート関連企業を落胆させた。
二〇〇〇年に英国と米国でカカオの児童労働報道が相次ぎ、米国では議員や政府、企業、NGO、消費者団体を巻き込んで「ハーキン・エンゲル議定書」に合意。児童労働撤廃への道筋を描き、取り組みの強化は業界全体に広がっていった。
それから二十年。児童労働の減少はまだ限定的だ。日本に輸入されるカカオは約八割がガーナ産。私たちが口にするチョコレートの多くに児童労働によるカカオが含まれている可能性がある。
消費者にできることの一つが消費行動で態度を示すこと。米国ではボイコットがNGOの常とう手段だったが、私が代表を務めるACEでは「児童労働のないチョコを」をキャッチフレーズに、児童労働撤廃に貢献するチョコを選ぶ「バイ(buy)コット」を呼びかけている。
日本にはサプライチェーンをたどって児童労働の有無をチェックする仕組みを企業に義務付ける法律はない。ならば、意欲的に取り組むブランドを買うことで課題解決につなげる。そんなエシカル消費も一つの方法だ。(NPO「ACE」代表)
(2021年2月9日の東京新聞・中日新聞夕刊コラム「紙つぶて」に掲載)