2016年6月12日
【6月12日は児童労働反対世界デー】夢も、希望も、命も奪う。そんな児童労働から子どもを救いたい。
夢も、希望も、命も奪う。そんな児童労働から子どもを救いたい。
なぜ、私が児童労働の問題に取り組むのか。そこには、出会った子どもたちがいます
1998年、ACEを発足させた直後の23歳の時にインドので出会った、児童労働をしていたサディス・クマル君という男の子がいます。
話を聞くと、綿花を糸にする製糸工場で週6日間働いていましたが、給与は5日分しかもらえず、食事は出るが「いつまで食べているんだ」とお皿を投げられたり、仕事で失敗すると、たばこの火を腕に押し付けられたりしたといいます。
「そんな状況を、自分の親に相談しなかったの?」
と私が聞くと、
「しなかった」と。
その理由を聞いて、私は驚きました。
同じ工場で働いていた別の子どもの親が、あまりの労働条件のひどさに、文句を言いに来た。その次の日、その子は働きに現れず、親が探しに来たけれど、どこにも見つからなかった、というのです。
「あの子は殺されてしまったのだと思う」
とサディス・クマル君。
「そういうことがあったから、自分の親には相談しなかったのだ」と。
借金のかたに働かされている子どもたちが多く報告されているインド。鎖につながれたり、監禁されたり、奴隷のように働かされ、暴力にさらされ、命を奪われる子どもたち。サディス・クマル君はそのサバイバーだったのです。
最後に、「将来の夢はなあに?」と聞くと、サディス・クマル君はこう答えました。
「なれるものになるよ、来るもの拒まずだよ」
子どもは夢を持っているものだと思い込んでいた私に、サディス・クマル君が教えてくれたのは、児童労働は、将来への夢や希望も奪ってしまうのだ、という現実です。
それから約18年たった今。世界の児童労働者数は、2億4600万人から1億6800万人(国際労働機関発表)へと、2000年に比べて3分の2まで減少しました。
それでも、9人に1人の子どもが児童労働を強いられている現状があります。インドのテランガナ州でACEが支援を始めたコミュニティでも、村の子どもの約3分の1が児童労働をしていました。
児童労働は15歳未満の義務教育年齢にあたる子どもの違法な労働、また18歳未満の危険・有害労働をさします。国際条約、国内法で途上国でも禁止されていますが、現実は、貧困、教育環境の不備、また子どものケアへの優先順位が家庭でも地域でも国でも低いことが影響して、必要な支援が行き届いていません。人身売買、子ども兵士、子どもの買春、ポルノなども児童労働に含まれます。
その現実を知ってもらいたいと97年大学院1年の時にACEを発足させ、これまで1,520人の子どもを児童労働から救い、13,123人の教育を支援してきました。でも、これではまだまだ足りません。
先月来日した、ノーベル平和賞受賞者カイラシュ・サティヤルティさんが言っていた3つのDという言葉があります。
Dream、夢を持つ、Discover、力を引き出す、Do、今すぐやる!
私のDreamは、子どもたちが児童労働から解放されて、教育を受け、自分の持つ可能性を花開かせることが出来るようになること。
私のDiscoverは、そんな夢を持って活動をはじめたら、多くの人が共感し、支援してくれることが、本当にあるんだということを知ったこと。
そして今の私のDoは、クラウドファンディングにチャレンジすることを通じて、児童労働の問題を伝え、ACEへの支援を募ることです。
6月30日までに300万円を募るというクラウドファンディングにチャレンジしています。金額が目標額に達成しないと、決済が行われず寄付金は0円になるという、厳しいチャレンジです。ご支援をぜひ、お願いします。
http://japangiving.jp/p/4280