児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ(single-blog)

NPO経営/NGO組織運営

2007年3月7日

NPOの不都合な真実 パート2

昨日に続き、NPOの税務セミナーに参加してきました。今日は2日目で、明日3日目になります。今日もまた、わけのわからない制度「NPOの不都合な真実」に憤りを感じながら帰途に着きました。(昨日の「NPOの不都合な真実」はコチラ

NPO法人への寄付が「所得税控除」にならないのがおかしい!

いわゆる寄付控除。これははどういう制度かというと、例えば、100万円の所得がある人がとある公益法人に10万円寄付をしたとします。

社団法人などに寄付した場合、税金対象額は100万円-(100,000円―5,000円)となり、905,000円が「所得」となり、所得税が決まってきます。

しかし、NPO法人に寄付した場合、寄付控除になりません。100万円が「所得」として、所得税が決まってきます。

つまり、寄付してくれた人が国に払う税金は、社団法人に寄付した場合と、NPO法人に寄付した場合では差が出てしまうのです。

これは、この程度の寄付額で個人の場合、上記の例では両方とも所得税がかかりませんが、これが現在のボーダーラインである103万円を超すか下回るかだった場合は、扶養家族に入れるか入れないかということも加わってくるため、1世帯の税額として上記の差よりもより多い額が変動する可能性があります。

法人からも、NPO法人への寄付は控除の対象になりません。また、経費(損金)として計上できる金額にも上限があり、だいたい1億円資本の会社で12万円程度!かなり限られた金額ですよね。

つまり、NPO法人に寄付して受ける税控除のメリットはゼロに等しいのです。そんな中、寄付をしてくださっているたくさんの市民、企業のみなさま、ありがとうございます m(__)m 本当に本当に感謝です。

法人格だけが与えられたNPO法人

しかし!ここで私は言いたい。昨日書いたように、NPOが自己財源を稼ぐための収益事業で収益を得ると課税対象になり、所得税を払わなくてはならない。その一方で、寄付を集めようとすると、税控除のメリットがないのです。

昨日書いたようにNPOの主な収入は、事業収入、寄付や会費、委託、助成金です。委託や助成金は外部性が高い(もらえるかもらえないかわからない)お金のため、NPOが安定した財政を保つためには、自己収入と寄付会費を集めるひつようがあります。言い換えれば、この二つはNPOが創意工夫しがんばっただけ、また活動の意義が認められれば認められるほど、NPOの収入が増えるはずなのです。

そのようなNPOの自立にとって不可欠な収入分野に対して、その寄付・会費を集めやすいようにしようという配慮がなく、収益事業は課税されるのは、八方塞がりです。

NPO法人という法人格だけ与えられても、寄付控除も所得税免除もないということは、政府はNPOに助成金や委託に頼るべきだと言っているようなものです。そのような不確定な財源に頼って、どうやって毎月確実に出るお金(家賃、電話代、お給料など)を払っていけばいいのでしょうか。

公的な目的で事業を行う公益法人であるということを「特定非営利活動法人」という法人格を与えて認めておきながら、他の公益法人と同程度の税優遇がないのは、とってもちぐはぐしています。一体どういうつもりで、このような税制にしているのでしょうか????

ますます疑問が深まり、眉間にしわがよってしまう、いわつきでした。

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